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最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)1668号 判決 1949年2月08日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人松尾菊太郎の上告趣意第一點について。

按ずるに共謀とは數人相互の間に共同犯行の認識があることを云うのであって單に他人の犯行を認識しているだけでその者が共謀者であると云うことのできないことは所論のとおりである。そして論旨は原判決擧示の證據によっては被告人が相被告人等の犯行を知っていた事実は認められるが未だ彼らとの間に犯行につき共謀があった事実は認められないと主張するのである。しかし原判決擧示の證據を綜合すると被告人は相被告人二宮等において強盗に行くことを知りながら同行したのみならず被害者宅の近くに行ったときに相被告人等は強盗に押入るため覆面はするし又日本刀を持っており右二宮が自分と宮尾が切れ物を持っているから脅かし役を遣る藤田と大山は座敷に上って金を探せ、被告人は表で見張っておれと云い、被告人がこれを承諾したことが認められるのである。してみると被告人は單に他人の犯行を認識していたに止まらず強盗の犯行の一部として見張の役をすることを承諾したものといえるのであるから被告人は右承諾のときに相被告人等との間に共同犯行の認識即ち共謀があったものと認めることができるのである。

果して然らば所論は原審の専權に屬する證據判斷及び事実認定の非難に歸着し上告適法の理由とならないのである。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑事訴訟法施行法第二條、舊刑事訴訟法第四四六條により主文の如く判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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